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終戦までの半年間だけ戦争へ行った父の語った話 その3は召集されて最初に行った旭川の第7師団練兵場(現在の春光台)での話です。
銃の分解と組み立て
甲種合格で重機関銃手になった父は暗闇でも銃の分解組み立てができるように訓練を受けたそうです。部品を取り外す順番と置き場所が厳格に決められていて目隠しをしても分解組み立てできるまでの時間を測られます。小銃は三八式歩兵銃、重機関銃は九二式重機関銃です。
重装備で走ること
弾帯を腰につけて弾薬箱と銃を担いで背中に背嚢(ザック)を背負うとかなりの重量になります。これで走るというのだから半端じゃありません。今の山の装備ならテント泊1週間分の荷物を持ってトレイルランニングするようなものですね。
ある時、地面に掘ってある蛸壺に誤って落ちたのだそうです。
「大丈夫か!」
と上官。
「自分は大丈夫であります!」
と父。
「お前のことではない! 九二式重機関銃は無事かと聞いておる!」
「天皇陛下から頂戴した銃を傷つけるとは何たることだ。」
ということで、
「九二式重機関銃様、大切に扱わず失礼いたしましたー!」
と銃に土下座して何度も詫びる羽目になった父、
「なんでこんな馬鹿らしいことしなくちゃならないんだろう?」
と思ったそうです。
防毒面を装着して毒ガス戦の訓練
いわゆるガスマスクですね。毒ガス戦を想定して防毒面を装着して走る訓練もあったそうです。今、コロナ騒動で普通のマスクして運動しても苦しいのにガスマスク装着は気を失いそうになるほど苦しいのだそうです。
そしたら先輩が裏技を教えてくれました。
「良いか、落ちてる小石を拾って防毒面と顔の間に挟んで隙間を作っておくんだ。終わったら見つからないように捨てればいい。」
このおかげで楽にできたそうですが実戦じゃなくてヨカッタですね。
銃剣術
白兵戦での銃剣を使用しての戦闘訓練です。銃の先に剣を着けますが剣は縦になります。
これで麦藁の仮想敵兵を突き刺すのですがこのとき銃を90°回転させて剣を寝かせて突き、すぐに引くのだそうです。なぜかと言うと胸には肋骨があるので寝かさないとぶつかって刺さらないのです。すぐに引き抜くのは筋の収縮で剣が抜けなくなっては困るからだそうです。
先輩兵の話では白兵戦で戦国時代のように勇猛果敢に戦うかと言えばそうでもなくてこちらが出ると相手が引いてお互いに行きつ戻りつで命のやり取りには中々ならないものだということでした。
父は銃剣を使う事態には遭遇しないで済みましたが、先輩の中には実戦で突然出遭った敵兵を刺したことのある人がいたそうです。その人はその時の敵兵の顔が忘れられないと話していたとのことです。
その4へ続く 次回はいよいよ新任地・千葉県房総白浜での戦闘経験が・・
https://bikesummerskiwinter.blogspot.com/2020/08/blog-post_11.html その1 敗戦
https://bikesummerskiwinter.blogspot.com/2020/08/blog-post_59.html その2 帰郷
https://bikesummerskiwinter.blogspot.com/2020/08/4.html その4 新任地・房総白浜へ
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