待っていた花が咲いたよ 2024/5/1 水

47年前の遊楽部岳での滑落事故の経験 (その3)

土砂崩れで道崩落
 無事朝を迎えたとは言え、昨日の困難な道を引き返すと思うと気が重くなりました。私は滑落して崖から落ちているのです。2回も奇跡的に助かるとは思えないし。
雨は上がっていました。しばらく戻ると川に吊り橋が掛かっていました。昨日私が吊り橋につながる道を行けば良いのではと提案してOBにあっさり却下されていましたが、今度は吊り橋を渡って戻ることになりました。沢沿いの急斜面に刻まれた登山道、快適に歩いて行くと眼前に信じられない光景が!
 あろうことか昨日の雨のせいで急斜面を沢に向かって流れ落ちた土砂崩れの跡。道は土砂崩れによって20mほど途切れています。急角度で沢に向かう土砂があるのみ。沢まで50mの崖になってます。
ここも部長がザイルを持って先に渡って行きます。乗った岩がずるずると下に滑ったりして見てられません。無事に渡った部長とこちら側のOBがザイルの両端を持って部員が一人ずつ渡って行きます。自分の番が来ました。かなりの急斜面で山側は顔に着きそうな場所に岩盤がせり出しています。顔を岩に擦り付けるようにしながら渡り終えると次の仲間が渡るのをはらはらしながら見つめます。最後にOBのOさんが渡って来ました。互いに顔を見て片側に泥の付いているのを笑い合いました。
 この後はトラブルもなく登山口へもどることができました。

列車が遅れる
 北桧山から国縫、そして函館へ列車で向かう一行。八雲から列車が出発しません。どうやら昨日の豪雨で列車の運行に支障が出ているらしい。ということで函館に戻ったのは夜遅くでした。八雲から電話したとはいえ親たちはさぞかし心配したことと思います。
大変な山行になりましたがこの時から部員たちの連帯感と信頼は何倍にもなったように思います。

何が問題だったのか
 ほとんど遭難という状況に陥ったわけですが何が問題なのか考える必要があります。
1.天候の確認が不十分であったこと
  時期的にも9月下旬、この時期の北海道では雨の中の山行は危険を伴います。特に沢や草付を歩くのであれば雨ならば中止を検討すべきであったと思います。

2.ルートの確認ができてなかったこと
  沢に入る地点を間違えていたのは致命的、読図と現在位置の確認をしっかりすべきであったでしょう。

3.ビバーク地点は実は危険な場所であったこと
  増水や鉄砲水で全滅する恐れがありました。

4.天候、位置確認、幕営地点など決断をリーダーに頼り切って各自確認することを怠ったこと。
  全員リーダー、全員メンバーということです。



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